以前は主にメトロ・ネットワークと関連付けられていたデータセンター相互接続(DCI)は、キャンパスやバックボーン、海底接続、そして現在ではスケールアクロス型のAIクラスターに至るまで幅広い範囲で導入されています。本ブログでは、Cienaのヘレン・ゼノス(Helen Xenos)が、各DCI導入における要件と、その実現に役立つ最適な技術について解説します。
データセンター相互接続(DCI)と聞いて、まず何を思い浮かべますか?
多くの業界関係者が思い描くのは、近隣の2つのデータセンターを結ぶシンプルな地域リンク、いわゆるメトロDCIの導入でしょう。それは間違いではありません。しかし、それはDCIという全体像のほんの一部に過ぎません。
実際には、DCIはメトロにとどまってはいないのが一般的です。データセンターは長年にわたり、キャンパス間、地域間、バックボーン間、さらには大陸間で接続されてきました。そして新たに現在の議論を大きく動かしているのがスケールアクロスです。AIと分散コンピューティングを原動力とし、スケールアクロスは新たな要件を生み出し、DCIのあり方を再定義しています。
では、その詳細を見てみましょう。現在の主要なDCIユースケースとは何か。それぞれに求められる性能・距離・運用要件とは何か。そして、最適な技術を利用してお客様がそれらに対応できるよう、Cienaがどのようなサポートを提供しているのかを説明します。

メトロDCI:シンプル、高速、省スペース
多くの場合、議論はメトロDCIから始まります。それには正当な理由があります。このユースケースは、データセンター・アーキテクチャーのフロントエンド・ネットワークの一部であり、都市圏内または地域内のデータセンターを結ぶための通常80~100km程度のポイントツーポイント接続です。
ここで最も重要な点は何でしょうか?それは、 低消費電力、スペース効率、そしてシンプルかつ迅速な導入です。
メトロDCIでは効率性が重視されます。クラウド事業者は、ラックを増やしたり電力バジェットを超えたりすることなく、帯域を迅速に拡張する必要があります。そのため、ルーターポートから直接大容量リンクを実現できるコヒーレント・プラガブル光モジュールが主流となっています。Cienaは、コヒーレント・プラガブル光モジュールWaveLogic™ Nano 400ZRおよび800ZRと、必要な光増幅と波長管理を提供するための導入しやすい RLS光通信システム を組み合わせることで、高密度かつ相互運用性の高いメトロDCIを実現します。
RLSがこの用途において支持される理由の1つは、単なる高密度DWDM接続にとどまらない点にあります。波長ごとの電力レベルを自動で均一化するため、トラブルシューティングや手動調整が減り、迅速なロールアウトと安定した最適なパフォーマンスを初日から実現できます。さらに、オープンなノースバウンドAPIにより、クラウド事業者の管理システムへの迅速な統合もサポートします。
また、メトロ環境内においても、DCIソリューションは一律に適用できるものではありません。限られたファイバー資源という制約を抱えるクラウド事業者に向けて、CienaはWaveLogic 6 Extreme(WL6e)の1.6Tb/sソリューションも提供しています。これは、コヒーレント・プラガブル光モジュールと比較してファイバーあたりの容量を50%拡張し、既存のファイバー資産を最大限に活用しながら、シンプルなアーキテクチャーを維持します。セキュリティーを重視するお客様向けには、WL6eは超低遅延のAES-256-GCM暗号化にも対応しており、光レイヤーにおける量子セーフの常時データ保護を実現して、拠点間を安全に接続します。
さらに、メトロにおける容量需要が拡大し続ける中、Cienaのロードマップは800G以上にも対応しており、1600ZRコヒーレント・プラガブル光モジュールもすでに開発中です。これにより、メトロDCIアーキテクチャーで将来に向けた拡張性を確保できます。
スケールアクロスDCI:2つのデータセンターを単一のシステムとして機能させる
課題が、単なるデータセンター間の接続にとどまらず、それらを単一の論理的なAIトレーニング・クラスターとして動作させることだとしたらどうでしょうか。
これを実現するのがスケールアクロス・アーキテクチャーです。スケールアクロスでは、1つのAIトレーニング・クラスターを1つの施設内にとどめるのではなく、地理的に離れている複数のデータセンター・キャンパスにまたがって単一のxPUクラスターを配置できます。各拠点は電力を確保できる場所に構築します。その結果、単一の大規模AIクラスターと同等の性能を維持しながら、新たな電力リソースへのアクセスを可能にし、地理的なレジリエンシーも強化されます。
しかし、これには注意点もあります。スケールアクロスでは、まったく新しい要件が求められます。データセンター間ネットワークは従来のトランスポート・リンクのように機能することはできません。その代わり、データセンター内部ファブリックの拡張として、非常に高いスケーラビリティー、ロスレス性、確実性の高い動作を備えつつ、膨大な帯域幅、極めて高い可用性、そして最小限の遅延を実現しなければなりません。
さらに、ここでももう1つの変化が起きています。このような容量を長距離で提供するには、コヒーレント光伝送技術や光通信システムが必要となり、これらの技術が初めてAIクラスターに組み込まれることになります。DCIのグローバル・リーダーであるCienaは、お客様がこの次世代アーキテクチャーを大規模に導入し、AIに求められる高いパフォーマンスと信頼性を実現できるように支援するための独自のポジションを確立しています。
数百本に及ぶファイバーペアが必要になる可能性のある導入では、過度なコストや設置スペースの増加、運用の複雑化を招くことなく、極めて高い帯域幅と信頼性を実現できるアーキテクチャーが求められます。さらに、多くのネットワーク・アップグレードとは異なり、スケールアクロスは段階的に拡張できるものではなく、容量、ファイバー、インフラを同時に拡張する必要があります。そのため、コヒーレント光トランシーバーと光通信システムの両方において、迅速かつ大規模な導入が求められ、その大規模なデータセンター相互接続には専用設計のインフラが不可欠となります。
Cienaは、RLS C&LバンドDCIシステムと、高性能で相互運用性を備えたWaveLogic 6 Nano(WL6n)800Gb/sコヒーレント・プラガブル光モジュールとの組み合わせにより、この課題に対応します。これらを組み合わせることで、分散型AIトレーニングに求められる距離とスケールに最適化された、信頼性と確実性の高いDCIリンクを実現します。
スケールアクロスの展開が単一スパンを超えると、避けられない新たな課題が出てきます。それは、中間アンプ局における高密度化です。これらの拠点では、同じ設置スペース内で、ファイバー数と容量の大幅な増加(多くの場合10倍以上)に対応する必要があります。さらに、スペース以上に電力供給が深刻な問題となるケースも多くなる一方で、簡素な運用を維持することも求められます。こうした要件を満たすことは、マルチスパンのスケールアクロスを大規模に実用化するための前提条件であり、そのためCienaは次世代のスケールアクロス導入を可能にするRLSハイパーレール・アンプリフィケーション構成の開発を進めています。
そして、初日から大容量を一気に立ち上げる場合、もう1つの疑問が生じます。なぜスペクトルの一部だけを使用するのでしょうか。Cienaは、フルスペクトル対応トランスポンダーにより、光帯域全体を初期段階から効率的にエンドツーエンドで立ち上げることで、お客様が容量確保までの時間を短縮できるように支援するための明確なビジョンを提示しています。
「こうした理由から、Cienaは次の段階のスケールアクロス導入を実現するために、RLSハイパーレール・アンプリフィケーション構成の開発を進めています」
キャンパスDCI:短距離接続の見直し
では、都市間や大陸間へと話を広げる前に、まずはキャンパスに目を向けてみましょう。ここでは、インターフェイス速度の向上により、「短距離」接続の定義そのものがひそかに変化しつつあります。
キャンパスDCIは、結局のところわずか数キロメートル程度の距離を扱うケースが多いため、一見シンプルに思えるかもしれません。従来、こうした接続はIMDD技術に依存してきました。しかし、ここで課題が出てきました。ラインレートが向上するにつれ、IMDDでは、キャンパス内の分散拠点を接続するために必要な到達距離を十分に確保できない場合があるのです。
では、代替手段は何でしょうか。
CienaのCoherent-Liteプラガブル光モジュールは、それを解決するための現実的な方法を提供します。コヒーレント変調を用いることで、コスト、消費電力、遅延の面でIMDDと同等の特性を維持しつつ、最大20km(または同等の損失バジェット)までキャンパス接続を拡張できます。これにより、ネットワークの構築や運用の方法を変えることなく、速度向上への対応が容易になります。
最大の利点は、不要な複雑さや過剰設計を避けながら、お客様がキャンパス接続のスケールを安心して拡張できる点です。これは、速度向上が続く中で、キャンパスDCIを将来の拡張にも対応できるようにするためのよりスマートなアプローチです。
バックボーンおよび海底DCI:距離の限界へ
ここで視点を再び広げてみましょう。バックボーンおよび海底DCIは、接続要件を極限レベルへと引き上げます。
データセンター同士を大陸間で接続する必要がある場合、どうなるでしょうか。あるいは海を越える場合、どうなるでしょうか。このような環境では、1dBも1Hzも大切であり、そしてあらゆるファイバーペアでの最大限の活用効率が重要になります。ネットワークでは、長距離での高いパフォーマンス、高可用性、そして継続的な容量拡張を提供する必要があり、それらは多くの場合、置き換えが困難、あるいは極めて高価なインフラ上で実現しなければなりません。
このような環境においては、コヒーレント性能と光通信システム設計が極めて重要な役割を果たします。
Cienaはバックボーン・ネットワーク向けに、追加ハードウェアを必要とせずに複数世代のコヒーレント技術に対応できる、CバンドおよびC&Lバンドの光通信システムを幅広く提供しています。これにより、お客様は初期投資を保護して、AIインフラの不足に対応するための高コストかつ時間のかかるネットワーク・アップグレードを回避しながら、徐々に容量を拡張できます。さらに、バックボーン・ネットワークの高密度化が進む中で、RLSハイパーレール・アーキテクチャーは、同一の設置スペース内でより多くのファイバーと容量に対応する高密度なライン・アンプリフィケーション構成を可能にします。運用の複雑化を伴うことはありません。
Cienaは海底導入向けに、コンパクトな2RU RLS SLTE構成を提供しており、設置スペースが限られるケーブル陸揚局において、スペースと消費電力を最小限に抑えます。さらに、セキュアなスペクトラム共有に最適化されたSLTE構成も提供しており、複数の事業者がウェットプラントの容量を安全に共有しながら、優れたパフォーマンス分離と運用制御を維持できます。
光伝送の分野では、WL6e 1.6Tb/sトランスポンダーが長距離および海底のアプリケーション向けに業界最高水準のファイバー容量を提供し、ポスト量子暗号(PQC)アルゴリズムに対応した量子セーフの暗号化通信も実現します。また、WL6eはD++ケーブルおよび補償型ケーブルの双方に対応する専用伝送モードをサポートしており、貴重なケーブル資産のアップグレードと、需要増加に伴うケーブルの寿命延長を可能にします。
さらに、設置スペースや消費電力が最も重要となるケースでは、WL6n 800Gプラガブル光モジュールの高性能伝送モードによって、導入の選択肢が増えます。CienaのPKT-MAX伝送モードにより、800Gプラガブル光モジュールはさらに多くのアプリケーションに対応可能となり、要求の厳しい長距離接続に必要なパフォーマンスを維持しながら、アーキテクチャーの簡素化も実現します。
1つのDCI戦略、多様なユースケース
では、結論を述べましょう。
DCIはもはや単一のユースケースではありません。キャンパスからメトロ、スケールアクロスから海底まで、連続した領域として広がっています。各領域にはそれぞれ固有の要件がありますが、お客様が求めているのは断片的なソリューションの寄せ集めではありません。
求められているのは、シンプルさ、
スケーラビリティー、
そして、将来に向けた明確な道筋です。
プラガブル光モジュールから光通信システム、短距離から大洋横断までを網羅する業界最大級のコヒーレント・ポートフォリオにより、Cienaはアプリケーションの進化や帯域需要の増加に応じて柔軟に適応できるDCIアーキテクチャーの構築をお客様が構築できるようにします。
ここで、最も重要と考えられる質問をしたいと思います。 貴社のDCI戦略は、将来にも対応できるでしょうか。




