IP/オプティカル統合は、業界において新しい話題ではありませんが、市場のダイナミクス、その結果であるIPネットワークの最新化のニーズ、さらに、新しい革新技術が同時並行的に起きているため、アーキテクチャーの進化に関する議論でこの話題が前面に出ています。  

通信の観点から見て、業界は根本的に変化しています。変わり続けるエンタープライズ・サービス・ミックス、5G、クラウドに加え、住宅やデータセンター向けの接続に関連する市場ダイナミクスにより、新しいユースケースと期待される収益成長機会がサービス・プロバイダーにもたらされています。消費者トラフィック・フローは、スモール・オフィス/ホーム・オフィス(SOHO)、ゲーム、Eラーニングをサポートするために、ホームの方向へ大きく転換しています。企業はコストを削減するためにデジタル変革を加速させて、Software-Defined Wide Area Network(SDN WAN)など、仮想ネットワーク機能(VNF)やクラウド・アプリケーションに移行しています。サービス・プロバイダーがxHaulアップグレード・オプションを評価し、4Gから5Gへの変革を計画するにつれて、5G導入の決定が確定し始めています。

これらの市場の変化に合わせて、トラフィックはネットワーク・エッジの方向へ向かっています。アプリケーションの観点から見た場合、これはコンピューティング能力を集中型から分散型に移行する必要があるということです。レイテンシーの短縮とQoEの向上のために、アプリケーションは今後も仮想化されて、エンドユーザー(人とマシンの両方)付近へ移動します。これにより、クラウド・サービスの終端点とピアリング・ポイントをネットワーク・エッジ近辺に移動しなければならなくなります。それを踏まえて、多くのサービス・プロバイダーは、新しいメトロとエッジ・クラウドのオンランプ・アクセスポイントの作成について議論しようとしています。また、今後数年で出現すると予想される新しいトラフィック・フローと膨大な数に上る可能性がある新しいサービスをサポートする準備を整えるために、新しい技術も評価しています。

これらの新しい機会を捉えるためにネットワーク変革のニーズが起きたことで、IPネットワークの最新化が促進されています。IP最新化の主要な要素としては、L2からL3インフラのアクセスおよびアグリゲーション・ネットワークの進化、レイヤースリー・コントロール・プレーンのアクセスへの拡張、単一サービス用のイーサネットVPN(EVPN)と単一トランスポート用のセグメント・ルーティング(SR)を使ったエンドツーエンドの単純化されたネットワーク・サービス・デリバリーへの移行などがあります。 変革が進行しているもうひとつの重要な側面は、IP/オプティカル統合です。実際、最新の調査結果によると、87%のサービス・プロバイダーがIP/オプティカル統合は自社の次世代ネットワークに重要である、または極めて重要であると考えています。*

IP/オプティカル統合にはハードウェアとソフトウェアの両方の手法があり、ネットワークを単純化するために、その一部またはすべてを採用することができます。 ハードウェアの観点からすると、コヒーレントDSPの新しい革新技術と光部品の小型化が、コヒーレント光技術のルーター・プラットフォームへの統合を促進しています。これは、100GbEや400GbEなどのクライアント光装置と同じフォームファクターに収められたコンパクトなコヒーレント・プラガブル光モジュールによって実現されます。現在、次の2つの広く普及しているフォームファクターが検討されています。

  • QSFP-DD:ルーター・スイッチ密度に影響することなく、大容量イーサネット・アグリゲーションとトランスポート用に使用されます。
  • CFP2-DCO:既存のROADMインフラ上で、より高いパフォーマンスと単純化された運用を実現します。

光モジュールはルーター・コストの80%以上を占めるようになるため、ネットワークの特定のユースケースに合わせた適切な規模の容量とパフォーマンスを備えたコヒーレント・プラガブル光モジュールを選択することが重要になります。

コヒーレントQSFP-DDと400GbEのクライアント光モジュールのサイズは物理的に同じですが、重要な違いがあります。コヒーレントQSFP-DDは、DWDM長距離伝送を実現して、ファイバー容量を60倍に拡大します。また、高度な変調および伝播に伴う劣化に対する電子的な補正を行うために高性能DSPを使用するので、5ワット以上の電力を消費します。このような理由から、コヒーレントQSFP-DDプラガブル光モジュールは、熱放散の追加要件に対応するように設計されたルーターでのみサポートされます。

最新のルーターとコヒーレント光モジュールの例

Image of a modern router and coherent pluggable

コヒーレント光モジュールを適切な光通信システムと組み合わせた場合にのみ、ファイバー容量を60倍に拡大することができます。ネットワークの特定のユースケースに合わせた適切な柔軟性とコスト設定を提供するために、最適な通信システム設計が選択されます。サービス・ターンアップと運用を単純化するには、これらのプラットフォームに統合されているインテリジェンスが重要になります。 

ソフトウェアの観点から見ると、次世代アーキテクチャーの基礎となるのは、経路計算エンジン(PCE)や高度なネットワーク・アプリケーションを提供する集中型のSDNマルチレイヤー・コントローラーです。PCEのプロセスをサポートして運用を強化するには、ストリーミング・データ・テレメトリーとネットワーク分析を活用する必要があります。これらの要素が連携して、自動化された経路計算とプロビジョニングに加え、高度な可視化、分析、サービス最適化を提供します。ネットワーク機能を開発者に公開するには、オープンAPIが必要です。これにより、イノベーションと新サービス導入に必要な時間を短縮することができます。 また、現実的な導入に欠くことのできないサードパーティー製装置とのアクセスおよび統合も簡易化されます。そして最後に、ソフトウェア統合には、計画、障害相関、サービスの耐障害性、容量の最適化など、統合インターフェイス経由のマルチベンダー/マルチレイヤー管理とリソース最適化が必要です。

統合インターフェイス経由のマルチレイヤー管理とリソース最適化

A Multi-layer management and resource optimization through a unified interface diagram

当社は、IP/オプティカル統合は、多くのサービス・プロバイダーがアーキテクチャーの変革のメリットを評価するときに戦略的な主題であり続けると考えています。実際、最新のグローバル・サービス・プロバイダー調査では*、IP/オプティカル統合を達成することで獲得したいメリットとして、サービス・プロバイダーは次の3つを最も多く選択しました。

  • IPレイヤーと光レイヤーをまたがるより効率化された運用(回答者の61%)
  • 共通のコントロール・プレーンなど、IPと光の機能の完全な統合(回答者の47%)
  • ソフトウェア最適化/自動化を使用したマルチレイヤーの最適化(回答者の47%)

P/オプティカル統合の方法と上記のメリットを実現する方法は、サービス・プロバイダーのネットワークの現状と環境によってそれぞれ異なります。しかし、IP/オプティカル統合は、IPネットワークの最新化で今後も重要な役割を果たすことになり、また、費用対効果と回復力が高い統合されたネットワークを実現する可能性があることは明らかです。

CienaのIP/オプティカル統合アプローチは、Adaptive Network™のビジョンをベースとし、Adaptive IP™に沿って開始されます。新たなIP伝送を実現する、この自動化および効率化されたオープンな方法は、WaveLogic™ 5コヒーレント光プロセッサーと組み合わせることで、ユースケースに合わせて最適化された固有のネットワーク要件を満たすソリューションとなります。 ​Cienaのインテリジェントな自動構成可能な光アンダーレイにより、IPトラフィック・フローの柔軟な管理を実現できます。また、CienaのManage, Control and Plan(MCP)とBlue Planet®ソフトウェアによって提供されるインテリジェントなネットワーク制御により、マルチレイヤー/マルチベンダー運用をオープンなクラウド・ネイティブなアプローチを使って単純化および自動化できます。

*Heavy Reading「IP and Optical Convergence Survey」2021年5月、回答数=220