2020年に急ピッチで進んだ800G導入
物理的距離の確保が提唱され、リモートワーク環境が定着している現在、新しい製品とテクノロジーをネットワークに導入することは、サービス・プロバイダー、クラウド・プロバイダー、コンテンツ・プロバイダーにとって確かにより難しい課題になっています。その一方で、世界の接続ニーズに応えることは、これまで以上に重要性が増しています。 それなら、ネットワーク・コストを削減すると同時に、より広帯域接続を求めるユーザー・ニーズに対応する必要があるプロバイダーの目下の課題に対処する新技術が実用化された場合はどうでしょうか。どれくらい短時間でその新技術を導入できるでしょうか。
今年の初めにWaveLogic 5 Extreme(WL5e)を搭載した業界初のプログラマブル800Gソリューションを市場に投入して以降、私たちは素晴らしい展開を目の当たりにしています。 販売開始から6か月余りが経過した10月末までに、65社のお客様に3,700台のコヒーレント・モデムを出荷しました。これはコヒーレント技術の導入ペースとしては驚くべき速さであり、同時期の400Gの販売実績と比べて顧客数は2倍に増えています。
このような堅調な導入の背景にはどのような理由があるでしょうか。当然、主要なメリットは、WL5eが提供する業界最高のパフォーマンスと経済的利益です。もう1つの重要な側面は、大規模導入に不可欠な要素をすべて提供できるということです。たとえば、複数プラットフォームにわたるサポート、量産出荷の能力、リンク・エンジニアリング・ツールと設計ツール、光通信システム、マルチレイヤー・ドメイン・コントローラー、オープンAPIなどです。
WL5eの44社のお客様が6500と厳選された24のWaveserver 5を使用(一部のお客様は両方を導入)
下の地図に示しているのは、多様な顧客ネットワークへの導入状況です。この新しい技術がこれほど速いペースで世界中のさまざまなアプリケーション向けに展開されている状況を見ると喜びもひとしおです。
現在までの800G技術の導入に関する追加情報と洞察の一部を以下に示します。
1. 世界中のネットワーク事業者がさまざまなアプリケーション向けにWaveLogic 5 Extremeを導入
WL5eプログラマブル800Gへの関心は世界的規模であり、あらゆるアプリケーションに及んでいます。 達成可能なことに対するお客様の関心は、数々の発表で明らかになっています。Southern Crossが初の800Gをグローバルに展開、Verizonが米国で800Gシステムを使って400GbEを初めて伝送、Deutsche Telekomがヨーロッパで初めて800Gを稼働、GlobalNetがロシアで800Gネットワークを初めて導入、Vodafoneニュージーランドが800Gを初めて導入、Telstraがオーストラリアで800Gを初めて展開、NTT Comが日本で初めて800Gを実現、そして最後に、TELUSがカナダで初めて800G波長を970kmの距離で伝送など、さまざまな内容が発表されています。
非常に目まぐるしく、活気に満ちた6か月でした。
ケベック市で試験中のWL5e装置の前に立つTELUSのネットワーク統合担当上級設計スペシャリストのジーン・グレゴアール(Jean Gregoire)氏。
ネットワーク事業者は、多岐にわたるアプリケーション向けにWL5eのメリットを達成しています。
- NTTコミュニケーションズは、5G、ゲーム、クラウド・サービスの急成長をサポートするために、WL5eを採用した800G DCIネットワークを導入しています。
- Sparkは、WL5eを用いたプログラマブルな自己修復型次世代ネットワークをニュージーランド全土に新規構築しており、5Gサービスをサポートするためにネットワーク容量を最大8倍に増やしています。
- HawaikiはWL5eを導入し、太平洋横断の海底ケーブル全体の波長容量を2倍以上に増やすことによって急増する顧客の容量需要をサポートし、9,000kmにわたって500Gb/sの単一波長を実現しています。
- Sparkleは450Gb/s波長を導入し、南北アメリカを相互接続するCurie海底ケーブルの10,476kmにわたってWL5eを採用し、スペクトル効率の30%の改善、大容量化、チリから米国にいたる経路の高速化を実現しています。
- Windstreamは、WL5eと6500 RLS統合C&Lバンド光通信システムを導入して、新しいNational Converged Optical Network(NCON)を構築し、米国の主要なデータセンター、海底ケーブル陸揚局、越境ゲートウェイにいたるWindstreamのTier 1、2、3市場間で容量を実現しています。
- RETNはWL5e波長を中央ヨーロッパにある既存のサードパーティー製通信システム全体に導入し、パフォーマンスとネットワーク使用率を最高レベルに向上させて、100GbEと400GbEの効率的な大容量接続を顧客に提供しています。
- Vodafoneニュージーランドは既存の6500インストールベースを活用して記録的な伝送速度を達成し、より環境に優しい消費電力の少ないネットワークを実現しながら、拡大傾向にあるが常に変動しているデジタル・サービスの需要をサポートしています。その結果、導入済みの各ハードウェア・モジュールのデータ・スループットが2倍に向上し、消費電力が50%削減されています。
2. 海底ネットワーク事業者は早期導入者
高パフォーマンス・コヒーレント技術の過去の導入でも分かるように、早期導入者のかなりの部分を海底ネットワーク事業者が占めていることは予想どおりです。海底ネットワーク事業者は、Open Cablesモデルを用いてネットワークを構築しています。このモデルでは、海底プラントとは別個にコヒーレント光モデムなどの海底回線終端装置(SLE)を自由に選択できます。
海底ケーブル資産のスペクトル効率と投資利益率を最大限に向上させるために必要なら、多くの海底ネットワーク事業者は、新しい容量を大幅に追加し、最高のモデム技術を選択する機会を必ず捉えます。標準化サイクルが非常に短いため、WL5eを採用した海底導入環境の多くはすでに稼働中です。
前述したように、Southern Cross(太平洋地域)、Sparkle(チリから米国まで)、Hawaiki(太平洋地域)のGeoMesh Extremeを導入した事業者に加え、次のような事業者が早期導入しています。
- SUB.COとオーストラリアの企業体であるAPX Partnersは、自社のINDIGO海底ケーブルをアップグレードしています。このネットワークはオーストラリアのパース、シドニーとシンガポールを結び、アジア太平洋地域で拡大している仮想接続のニーズをサポートしています。 WL5eは海底ケーブル・ネットワーク全体に500Gb/sの単一波長チャネル速度を提供し、低遅延、より大規模なスケーリング、より大きな経済的メリットを提供します。
- Aqua Commsは、WL5eを利用してさまざまな大西洋横断の海底経路に20Tb/sを提供しています。Aqua Commsはこのアップグレードにより、リードタイムの短縮、柔軟な製品セットの構築、コスト最適化の向上を実現し、自社の顧客が消費者需要の増大に対応できるようにしています。
- GCIは、WL5eによってAU(Alaska United)EastとAU Westのケーブルをアップグレードし、ホールセール、連邦政府、コンテンツ・プロバイダーなどの顧客の帯域の急増をより適切に処理しています。
3. ハイパースケールDCI接続がより高い導入率を促進
最後に、公式には発表していませんが、ハイパースケーラーの帯域需要が、WL5eの牽引力の重要な促進要因の1つになっています。これは、需要がハイパースケーラーから直接的にもたらされたものであっても、ハイパースケール需要に対応するためにホールセール・ネットワーク・プロバイダーが新しい容量を導入した場合であっても該当します。
チームへの祝福
この1年は予期せぬ問題が生じたので、このようにこれまでの忍耐と前述したような最先端ネットワークの導入によって達成できた功績を振り返ってみるのは、とりわけ時宜に適っていると言えるでしょう。 この革新的な技術を市場に投入したことに対して、科学者とエンジニアの皆様に心からお祝いを申し上げます。これにより、ネットワーク事業者と導入チームは、消費者や企業がより効率的なデジタル接続を推進できるように、新しい容量を拡大することができます。