5G、モノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)のような革新技術の導入により、ネットワーク・エッジでコンピューティング能力を強化する必要性が増しています。 この成長により、インターネットをつなぐ「接着剤」の役割を果たしているIP接続とIPプロトコルにかかる負担がますます大きくなっています。

必要な規模のIPノードをサポートするために、これまでにない革新的なネットワーク・アーキテクチャーが必要とされています。  IPネットワークは、所有と運用が大幅に単純化されるように進化すると同時に、Software-Defined Networking(SDN)機能を導入して自動化とインテリジェンスを活用する必要があります。 

レガシー・アプローチでは実現できない費用対効果の高いIPネットワークのスケールアップ

まず、既存のアプローチでは有効に機能しない理由を客観的に分析してみましょう。 たとえば、従来のIPベースのネットワークでは、パケット転送の決定はすべてのノードの経路ルックアップを実行するスタンドアロン・ルーター群によって、ホップバイホップ・ベースで行われます。 IPベースのネットワークでは、事前割り当てされたパス・コストに基づいてパケット転送の決定を行うように設計されている内部ゲートウェイ・プロトコル(IGP)を使用します。 送信元と宛先が類似したパケットは、オプション・パスの使用率が低い経路または使用されていない経路があったとしても、すべて同じ経路を通ります。その結果として、輻湊が生じます。

この問題を解決するために、トラフィック・エンジニアリング(TE)が導入されました。これにより、ホップバイホップ・ベースで転送を決定するのではなく、イングレス・ルーターによって特定のトラフィック・フローの送信元から宛先までのパスを決定できます。 こうすることで、コストは低いけれど、輻湊が発生しているパスを通っていたトラフィックが、使用率の低いパスで送信されるようになります。 別の言い方をすれば、トラフィックの「ロード・バランシング」を実行するということです。

IPネットワークのトラフィック・フローのエンドツーエンド・パスに沿ってリソースを予約する、リソース予約プロトコル(RSVP)も導入されました。 RSVPシグナリング・プロトコルは、MPLS-TEをサポートするために、マルチプロトコル・ラベル・スイッチング(MPLS)機能を使用して拡張されました。これによりRSVPは、RSVP-TE拡張を使用して、MPLS-TEネットワークでラベル・スイッチド・パス(LSP)を設定できるようになりました。

現在、ネットワーク事業者がトラフィック・エンジニアリングを採り入れたMPLSネットワークを設計および導入する際には、RSVP-TEを用いる方法が主力になっています。

何が問題でしょうか? ラベル配布プロトコル(LDP)だけでなく、特にRSVP-TEは、問題が発生した場合に実装、保守、運用、トラブルシューティングの作業が複雑になるプロトコルです。 これらのプロトコルは、ネットワークで大量のシグナリング・トラフィックを生成し、トポロジー認識機能が限定的であり、MPLSトンネルによるフラッディングをネットワークで発生させます。

したがって、ネットワーク事業者は、RSVP-TEネットワーク・アーキテクチャーをサポートするために熟練の運用スタッフを必要とします。また、RSVP-TEネットワークを拡張しようとすると、瞬く間に手に負えないほどの作業量になります。

セグメント・ルーティングによるネットワークの単純化

セグメント・ルーティング(SR)は、IPネットワークを単純化するための着実な動きのひとつです。 新しい技術ではなく、ベンダーやサービス・プロバイダーが10年近くにわたって議論を重ねてきました。 しかし、初期の議論にはSDNが盛り込まれていなかったため、達成できるメリットが非常に限られたものでした。

SRは、IPルーティングを実装する柔軟で拡張性の高い方法です。 送信元がパスを選択し、選択したパスをリンクの番号付きリストとしてパケット・ヘッダーに直接埋め込みます。 SRパスは、転送のためにホップバイホップ・シグナリング、ラベル配布プロトコル(LDP)、RSVPに依存することはありません。厳密に言うと、「セグメント」を使用します。 全体として、ネットワークの所有と運用が大幅に簡単になります。

また、セグメント・ルーティングは、MPLSまたはIPv6コントロール・プレーンでも動作可能であり、レイヤー3 VPN(L3VPN)やイーサネットVPN(EVPN)などのMPLSの豊富なマルチサービス機能と統合されます。

Cienaのセグメント・ルーティング実装であるAdaptive IPTM

Ciena Adaptive IPは、セグメント・ルーティングを利用して、ネットワークをスケーラブルで効率的な、費用対効果の高い単純化されたアーキテクチャーに進化させるための理想的なアーキテクチャーを提供します。 Adaptive IPは、SDNを活用するように設計されており、ネットワーク・ベースの分散されたインテリジェンスとコントローラー・ベースの集中化されたインテリジェンスの最適なバランスを取ることによってメリットを引き出します。

SRを使ってIPネットワークをよりシンプルで効率的な状態に進化させることは、SR対応のネットワーク・インフラを実現したり、レガシーIPインフラでSRを有効にしたりすることではありません。 これには、インテリジェントな自動プラットフォームの実装に関する広く実証された明確な戦略が必要です。 また、Ciena Adaptive IPの機能とともに、以下が必要です。

  • gRPC、OpenConfig、BGP-LSのようなオープン・スタンダードを使用して、リアルタイム・テレメトリーを提供する機能を備えた、オープンなディスアグリゲーション型のプログラマブルなインフラ。 5162、5170、6500-T、6500PTSのようなCienaプラットフォーム。これらのプラットフォームは、最適化されたフォームファクターに、拡張性、パフォーマンス、容量、効率化されたIPスタックが統合されているソリューションの代表例です。
  • マルチレイヤーとマルチベンダーのネットワークを認識する能力を備え、ネットワーク・フォレンジックとトポロジー検出を実行し、リアルタイムのネットワーク・リソース使用率とQoS要件に対応するAnalytics。Analyticsは、SRパスのPCE(Path Computation Element)として機能します。 Blue Planet ROA(Route Optimization and Assurance)は、あらゆるSR実装をサポートするための理想的なツールセットです。
  • セグメント・ルーティング・ポリシーを実装するために、PCE計算に従い、NETCONF/YANGのような標準を使用し、ネットワーク・インフラを自動化およびプログラムする機能を備えた、マルチベンダーとマルチドメインのSDNオーケストレーション。 Blue Planet MDSO(Multi-Domain Service Orchestrator)は、効果的なSRの導入に必要なSDN機能を提供します。

セグメント・ルーティングへの移行時に理解しておくべきこと

SRをレガシーIPルーティング、LDP、RSVP-TEの実装と比較した場合、そのメリットは歴然としています。 セグメント・ルーティングは、5Gモバイル・ネットワーク導入などの間近に迫った使用事例をサポートする主要なIPネットワーク・インフラとなる可能性が高い技術です。

SRの導入について議論する場合に留意すべき重要な事項がいくつかあります。

  • IPネットワークの進化は、新しいシナリオではありません。 導入済みの既存のプラットフォームは、ほとんどがSRに対応していません。 すべての実装がマルチ・テクノロジー環境をサポートする必要があります。
  • 費用対効果が高く、将来拡張性のある適応型ネットワークへの進化を実現する唯一の方法は、オープン性の理念と関連する市場ソリューションを採り入れることです。 SR実装のすべての構築ブロックは、マルチベンダー環境をサポートしていなければなりません。
  • 最後の点として、SRはボックス中心の実装ではありません。 その効率性を大きく左右するのは、最も高度な業界プラクティスに連動し、明確な変革戦略が定められた、インテリジェントな自動化ソフトウェア・プラットフォームの存在です。 

セグメント・ルーティング技術 - Adaptive IPの実装

IP/MPLSネットワークを稼働しているネットワーク事業者は、複雑さを増大させたり、トータルコスト(TCO)に悪影響を及ぼしたりすることなく、既存のネットワーク・インフラを進化させて、新しいサービスの提供とIPネットワークの成長をサポートできる機能を必要としています。 CienaのAdaptive IPは、SRの実装を成功させるための理想的なフレームワークです。