Kentaro Kagawa, Consultant SE, Japan
2025年6月に開催されたINTEROPTokyo 2025は、コロナ禍以降では最大となる来場者数137,000人を記録し、盛況のうちに幕を閉じました。当社セミナー、そして日本最大級のライブデモネットワーク「ShowNet」で当社の製品にご関心をお寄せいただいた皆様に、心より御礼申し上げます。
今回のINTEROPでは、AI、省電力、セキュリティが主要テーマとして際立ち、多くの出展者がこれらを軸とした展示を行っていました。AIが世界を変革しつつある一方で、セキュリティーリスクやサイバー脅威の高まりも印象的であり、業界全体がその対応に向けて動き出していることが伝わってきました。
会場の展示ブースでは、高速化を主張するトランスポンダーや、低消費電力化や効率化といった主張が目立っておりました。いずれもAIの活用に向けたデータセンター、DCI向けインフラを強く意識した内容であったという印象を受けました。また、サイバーセキュリティーの分野でも、AIを用いた予兆検知・攻撃の分析や、生成AIを業務で使用する際の情報漏洩対策といった、AIを利用した防御やAI利用時のリスク対策に重きを置いたソリューションの展示が目立ちました。
Cienaのセミナーでは「AI Readyなデータセンターインフラ:Cienaが支える超高速・省電力・低遅延光伝送」をテーマに、当社執行役員システムエンジニアリング本部本部長今井俊宏が講演を行いました。講演では、AIの活用やコンピューティング性能の向上によって爆発的に増加するトラフィックと、それに伴う消費電力の課題を背景に、ハイパースケーラーの最新動向、MOFN(Managed Optical Fiber Network)の導入事例、そして最新のDCIビジネスモデルの紹介を交えながら、Cienaが考える次世代データセンターインフラについて解説しました。
セミナー参加者からも、AIやDCIへの関心の高さを示すように、重要課題として、超高速化、省電力、省スペース、効率化といったキーワードが多く出されていました。
ShowNetでのライブデモンストレーションには、ベンダー各社が競って最新のトランスポンダー製品やROADM製品を持ち寄り参加していました。その中で、Cienaは最新のコヒーレント伝送技術WaveLogic6 Extremeによる業界唯一の1波1.6Tb/sトランスポンダーを提供し、業界をリードする企業として一歩先行く存在感を示しました。WaveLogic6 Extremeは、前世代のWaveLogic5 Extreme(1波800Gb/s)と比べて消費電力が同等で、伝送容量1ビットあたりの消費電力は約半分に削減されており、消費電力の面でも業界をリードしています。
CienaはWaveLogic 6で業界に先駆けてコヒーレントDSPに3nmシリコン技術を採用、2024年には製品を市場投入しAI需要に対応する広帯域、低消費電力を実現するネットワーキングソリューションを適用した多くのユースケースを世界規模で展開しています。
図1 トランスポンダー製品WaveLogic6 Extreme(WL6e)
WL6eをWaveserver 5プラットフォームに組み込み、
1台あたり12.8Tb/sの伝送容量を提供
また、IOWN APNで定義される1~25Gb/sまでの低~中速サービス収容ノードとしてのFlexible Bridge(FLEXBr)を実現可能なCiena 5166ルーターをShowNetへ提供しました。5166が提供するFlexible Ethernet(FlexE)は、複数の低速クライアント(1G~25G)をFlexEチャネルにマッピングし、専用TDMのようなスケジューリングを活用して100/200/400Gラインポートに統合します。これにより、各クライアントのサービスチャネルに完全な専用帯域幅が確保され、他のチャネルやイーサネットサービスによる遅延やジッターの影響を受けません。400G-ZR+トランシーバーにも対応し、トランスポンダー不要でありながら、LANスイッチ上に構成したL1専用回線をWDMのように使用可能とする技術です。
図2 APN FLEX Bridge Ciena 5166
クライアント側は1/10/25GEを32ポート、
伝送側は100/200/400GEを2ポート提供
その他、INTEROP展示会場では800GE対応の多ポートLANスイッチ、1600GE対応の測定器なども多く展示されており、クライアントポート側の高帯域化も確実に進んでいることが実感できました。
ロボット制御による自動光ファイバースイッチや、PTP/SyncE(ローカル5Gや一部金融機関等で求められる、位相・周波数同期技術)を新たにサポートするLANスイッチ製品の登場など、エンタープライズ市場向け光ソリューションの広がりも感じられました。長距離伝送に限らず、短距離ネットワークやローカル環境においても「オプティカル」の重要性がより一段と増してきているというトレンドを実感したイベントでした。また、ハイパースケーラーが牽引するAIの普及に伴うデータセンター間通信の増大は止まることを知らず、安定した長距離大容量のオプティカルトランスポートの重要性は今後も増して行き、3.2T/λ時代もそう遠くないことを感じさせるものでした。
今後もCienaは、AI時代を支えるネットワークの進化に貢献してまいります。
来年のINTEROP Tokyo 2026で、皆様と再びお会いできることを楽しみにしています。