攻守の卓越したプレーとチームワークが勝利を導く―MLBに学ぶネットワーク設計の極意

Hiroshi Tashima, Senior Manager SE, Japan

今年のMLB・米メジャーリーグのワールドシリーズは、最後まで息をのむような熱戦でした。DodgersとBlue Jays、どちらのチームも攻撃(オフェンス)と守備(ディフェンス)の両面で卓越したプレーで観客を大いに魅了し、野球の醍醐味を改めて実感させてくれました。
強力な打線だけでも勝てず、堅実な守備だけでも十分ではない―攻守両面での卓越性が重要であることを、両チームのプレーは改めて教えてくれました。ワールドシリーズ前のナ・リーグ優勝決定戦でMVPを獲得した大谷翔平選手は、トロフィーを持ち帰らずにクラブハウスに設置し、Team Effortの文字を刻みました。リーグ優勝を勝ち取ったのは、一部のスター選手だけではなく、全員が役割を理解し、支え合った「チーム全体の力」であり、ワールドシリーズもまたTeam Effortで乗り切ろうという大谷選手の強いメッセージと考えられます。実際に、それが現実となりました。

この「攻守の卓越性」と「チームワーク」という考え方は、私たちが取り組むネットワーク設計にも通じています。どれほど優れた装置や技術を導入しても、それ単体では完璧なネットワークにはなりません。
重要なのは、コアからエッジまでが一体となり、状況に応じて最適な連携を取れることです。それは、野球チームが、投手・捕手・野手がそれぞれのポジションで力を発揮しながら、全体として戦略的に機能していることと大きな共通点があります。

攻めと守り、両方を求められる日本のネットワーク

日本の通信インフラは世界でも屈指の密度を誇りますが、その一方で厳しい制約も抱えています。都市部のデータセンターではラックスペースや電力容量が限られ、郊外やエッジでは過酷な温度条件や物理的制約に直面します。それでもAI、クラウド、動画配信などによるトラフィックは急増を続け、ネットワークには「高密度・高性能」と「省電力・高信頼性」の両立が強く求められています。

これはまさに、攻守のバランスを求められる野球のようです。

拡張性とスピードを追求する“攻め”の設計と、安定運用や冗長性を担保する“守り”の設計。
その両方を高い次元で両立することが、日本のサービスプロバイダーにとっての勝利条件です。

チームのキープレイヤー―Waveserver E200

CienaのWaveserver E200は、まさにこの「攻め」と「守り」を両立するためのチームの要と言える存在です。
コンパクトな1RU設計ながら、最大200G対応のラインポートと高密度クライアントポートを備え、省スペース・省電力を実現。限られたリソース環境でも高いパフォーマンスを維持し、同時に高いレベルで安定性や信頼性と運用コストを低減する効率的でTCOに優れたソリューションです。

攻めのWaveserver E200:俊敏な拡張力と柔軟性

野球で例えるなら、試合を動かす“攻め”の部分―俊敏な走塁や的確な打撃―にあたるのが、Waveserver E200の運用効率の高さです。

  • トランスポンダーモードとマックスポンダーモード、ADMなど、用途に応じて柔軟な構成が可能。
  • 従来のWaveserverおよび6500ファミリーを補完し、ネットワーク全体にわたるシームレスなサービス提供を実現。
  • イーサネットおよびOTNサービストランスポート、サービスアグリゲーション、そしてエンドカスタマー拠点までの拡張オプションにより、多様なプレー(運用シナリオ)に対応。
  • さらに、Navigator NCSによる一元管理が可能で、ネットワーク全体を俯瞰して素早くプレーを展開できる。まるで監督がチーム全体の動きを把握し、的確なサインを出すような運用が可能です。

これらの俊敏な拡張性と柔軟性はまさに、Waveserver E200の「攻めの力」となります。限られたリソースで効率的にトラフィックを拡張し、サービス投入までの時間を短縮する―俊敏で戦略的なネットワーク構築を支えます。

守りのWaveserver E200:堅牢な安定性と継続性

一方で、ネットワークの“守り”を支えるのもE200の重要な役割です。長いシーズンを戦い抜くための守備力のように、信頼性と耐久性がWaveserver E200の強みです。

  • 冗長化された電源(AC及びDCに対応)により、障害発生時でもサービスを継続。
  • Extended temperature(−40 ~ 65 ℃)対応で、屋外や厳しい環境下でも安定した動作を保証。従来のWaveserver(−5 ~ 45 ℃)を大きく上回る適応力を持ちます。
  • ラインポートを双方向に使用してADM ring構成が可能なため、障害時の自動経路切り替えなど、ネットワークの堅牢性をさらに高めます。

このように、Waveserver E200は攻めの「俊敏な拡張性と柔軟性」と守りの「堅牢な安定性と継続性」を兼ね備えたオールラウンダーです。ネットワークというチームの中で、攻守両面に貢献する頼れるユーティリティプレイヤーです。

Waveserver E200の詳細については、こちら の記事でも紹介していますのでご覧ください。

チームワークが生み出すネットワークの強さ

野球で勝利を掴むには、攻撃力だけでなく、守備の堅さ、采配の的確さ、そして全員の一体感が欠かせません。そして、必要な戦力は必要に応じて補充してチームの完成度を高めます。
ネットワークも同じです。コア、メトロ、エッジ――それぞれのレイヤーが独自の役割を持ち、互いに補完し合うことで、初めて全体最適化された強固なインフラが完成します。Waveserver E200は新たな戦力として補充されました。Cienaの製品群―Waveserver、6500、Navigator NCS、Blue Planet、そしてWaveLogicシリーズ――は、それぞれが異なるポジションで役割を果たしながら、チームとして最適なネットワークパフォーマンスを引き出します。

この“チームプレーによる最適化”こそが、Cienaが世界中のサービスプロバイダーに選ばれ続けている理由です。

日本市場の「次の一手」へ

日本のサービスプロバイダーが直面する課題は、グローバルの中でも特に複雑で多様です。
限られた資源の中で高品質を維持し続ける―その姿勢は、まさに日本の野球チームが世界で評価される理由と重なります。World Seriesの舞台で、チーム全員の力が勝利を引き寄せたように、Cienaもまた、日本のお客様の課題を的確にとらえ、最適な“チーム戦略”を設計して、最適なサポートができるよう努力したいと思います。