コンシューマーレベルでは、相互に接続してスマートホームを構成する家電製品があります。たとえば、ユーザーの食事に関するニーズを学習する冷蔵庫、調理時間と温度を自動的に調整するオーブン、常に最適な温度を維持するサーモスタットなどです。

しかしこれはごく表面的なものにすぎません。

スマートテクノロジーはもっと大きなスケールで、ビルディング、工場、さらには都市全体にも応用されています。その場合は無数のセンサーやその他のシステムによって24時間モニタリングし、それをデジタルモデルまたは“デジタルツイン”に投影することで、人間のオペレーターがより多くの情報に基づいて管理上の判断ができるようにしています。

その可能性の大きさから、IOWN Global Forum(通信のイノベーションを加速するためにIntel、Sony、NTTが創設し、Cienaも参加しているテクノロジーアライアンス)は、直ちに注力すべき2つの分野の1つにデジタルツインコンピューティングを挙げました

たとえばサプライチェーン企業は現在、デジタルツインを利用して需要と供給をモニタリングしています。1つの拠点で特定の製品が不足した場合には、デジタルツインによって、中央の管理施設にある余剰分から製品をリダイレクトします。複雑なネットワークを細かく追跡することで、注文を確実に履行し、製品が迅速に配送されるようにする必要があるためです。

さらに大きなスケールでは、都市全体のデジタルツインを作成することで、効果的な管理が可能になります。市民に直接影響するものとしては、交通の管理が挙げられます。地方政府はデジタルツインによって交通パターンを確認し、問題のあるエリアを特定して調整し、交通の流れを改善できます。また予測モデルを開発して非常事態計画を策定し、道路工事や悪天候の際にも交通渋滞を防ぐことが可能になります。

東京都庁は現在、国土交通省のProject PLATEAUの一環としてデジタルツインを作成しています。このプロジェクトを通じて、忠実度の高いフル3Dモデルの東京を作成することで、現実の都市を混乱させることなく都市活動を追跡し、災害対応のテストを行い、都市部拡大の計画を策定できるようになります。

このプロジェクトはメタバースの開発にも貢献しています。ユーザーは様式化された東京のモデルにログインし、デジタルアバターを作成して、自宅から都市を探索することができます。

これを実現するうえで重要な役割を担うのが通信ネットワークですが、デジタルツインを運用し続けるためには膨大なネットワーク帯域幅と処理能力が求められます。サービスプロバイダーは、デジタルツインをオンラインで中断することなく運用し続ける重圧に直面することになります。Cienaは、そのニーズに対応するには包括的なアプローチが不可欠であると考えています。

このアプローチでは、IPと光のネットワークレイヤのコンバージェンスと同時に、一元化されたマルチレイヤの自動化が行われます。それによりサービスプロバイダーは、ネットワークを進化させ、シンプルさと流動性、そして適応性を維持する方法を柔軟に選択できるようになります。それが、新たな成長の機会を利用してユーザーエクスペリエンスを向上させることにつながるのです。

デジタルツインのようなこれからの進展は、技術分野を大きく超えるインパクトを持っています。このブログシリーズの次の記事では、技術的なイノベーションがサステナビリティにどのように貢献できるかを見ていきます。