2025年9月16日
Brodie Gage著
グローバル製品およびサプライチェーン担当シニアバイスプレジデント

AIは、あらゆる種類の事業者におけるネットワークの設計、スケール、運用の在り方を再定義しています。CienaのBrodie Gageが、光技術の革新と自律型オペレーションが、AI時代に向けたグローバル・ネットワーク・ファブリックをどのように実現しているのかを解説します。

人工知能は、既存のネットワーク上で動くアプリケーションの一つにとどまるものではなく、ネットワークそのものの再構築を促す変革の原動力となっています。ハイパースケーラーやネオスケーラー、サービス・プロバイダー、企業、政府に至るまで、あらゆる種類の事業者がAIの進展を支えるためにネットワークを進化させています

ネオスケーラーとは

ネオスケーラーとは、GPU-as-a-serviceやLLM運用プラットフォームなどのAIインフラを提供するプロバイダーを指します。ハイパースケーラーとは異なり、クラウドやエッジのサービス・プロバイダー、データセンター、コロケーション・プロバイダーもこのカテゴリーに含まれます。AIへの需要が加速する中、これらのネオスケーラーは事業の成長を促進するために、独自の高度でスケーラブルな光ネットワークを構築しています。

これからの方向性は明確です。それは、グローバルな「AIネットワーク・ファブリック」を構築することです。これは、大規模なGPUクラスターを相互接続し、AIトレーニング・サイトと推論拠点間での接続性を確保し、企業に必要な性能レベルでAIアプリケーションに接続し、より大規模な自律型ネットワークへの移行を可能にします。従来の段階的なアップグレードとは異なり、これは基盤そのものを変えます。つまり、ネットワークの設計、構築、運用の在り方を根本から見直すアーキテクチャーの再構築となります。

この変革を支える三つの柱 :

  1. 1.アーキテクチャーの進化:クラウドのような弾力性とオンデマンド型ネットワークの概念に基づき、あらゆる種類のネットワーク事業者のアーキテクチャーを近代化させ、AIワークロードの特有の要件に対応しながら、大規模に活用できるAIを実現します。
  2. 2.物理インフラ:データセンター内、データセンター間、そしてグローバル・ネットワーク全体にわたり、すべてのAIファブリックのスケーラビリティを最大化するために、光システムやコンポーネントにおける革新的な技術が求められます。
  3. 3.運用の刷新:エージェント型AIが意図や文脈、意思決定を運用に取り込み、現在の制限のある自動化から、より動的で協調的、かつ高度に自律した運用へとネットワークを進化させます。

これは、AI主導の経済の基盤となるものであり、光技術の革新はAIネットワークのエコシステムに参入するすべての事業者にとって、新たな収益機会を生み出す重要な要素となります。

ネットワーキングの歴史的な変革

今までのあらゆる主要な技術の発展期は、ネットワークによって形作られてきました。インターネットはデジタル経済を生み出しました。モバイル・ネットワークは遍在する接続性を実現しました。クラウド・ネットワーキングはハイパースケール型のビジネスモデルを生み出しました。

そして今、AIにより、同様の大きな転換期を迎えています。AIは単に新たなサービスレイヤーということだけではなく、ネットワーク・ファブリックを根本から再考させるものです。ネットワーク事業者にとって、これは新しいアーキテクチャー、新しい運用モデル、そして多くの場合、新しいビジネス戦略を意味します。

AIデータセンターのスケールアップ、スケールアウト、スケールアクロス

従来のデータセンターは、エンタープライズ・アプリケーションや動画配信、コンテンツ配信、クラウド・サービス向けに設計されていました。しかし今日では、AIがデータセンターを内側から大きく変えつつあります。その変化を理解するには、AIデータセンター内およびデータセンター間の接続性に関する3つの異なる側面を見ることが重要です。

  • スケールアップ:ローカルのコンピュート・クラスター内でGPUを接続する
  • スケールアウト:ラック間でクラスターを接続する
  • スケールアクロス:地理的に分散したデータセンター全体を相互接続し、AI「ファクトリー」を形成する

Illustration of the Scale Up, Out and Across of data center

この進化により、ネットワークは段階的な変化をするのではなく、光技術の新しい時代へと踏み出しています。銅線ベースだったインフラはファイバーへと置き換わり、電子による伝送は光子による伝送へと移行しています。強度変調直接検波(IMDD)は、コヒーレント光伝送へと移行しつつあります。それは、あらゆる距離に対応し、より大容量で、伝搬性能が高く、信頼性の高い通信が求められているからです。電力、スペース、密度、性能といった制約に対応するために、新たな光ソリューションが求められています。これらのソリューションは、コンポーネントからシステム、先進的なパッケージング技術に至るまで、大規模な環境においてコストを抑えつつ、利用可能性を高めます。

ファイバーは、もはや広域ネットワークのバックボーンにとどまるものではなく、AI時代を支える基盤となっています。この進歩によって、高度な大規模言語モデル(LLM)からリアルタイムの3Dアプリケーションに至るまで、あらゆる処理を支える新たなタイプのAIデータセンターが誕生しています。

グローバル規模で進むAIインフラの相互接続

AIネットワーク・ファブリックは、これまでにないスピードで拡大しています。弊社の分析によると、2025年には世界で300か所を超えるAIデータセンターが新たに稼働しており、2030年にはその数が倍増し、約600か所に新規データセンターが構築される見込みです。この規模の需要に応えるには、さまざまな先進的な光技術を組み合わせたポートフォリオが必要であり、それぞれが固有の強みを発揮します。

  • 大容量光伝送:400G、800G、1.6T(および今後のさらなる高速化)に対応する、低消費電力かつ省スペースのフォーム・ファクターで提供します。
  • 高性能オプティクス:最適なスペクトル効率を実現しつつ、より長い伝送距離や高密度化、そして優れた性能を支えます。
  • プラガブル・オプティクス:電力とスペースの優位性を維持しながら、距離と性能の要件を満たすユースケースの増加に対応します。
  • マルチレール・フォトニックレイヤー・アーキテクチャー:単一レールの制限を超えてスループットを増加させ、トラフィックの種類を分離し、レジリエンシーを追加するとともに、ファイバーの増設が進む環境で電力とスペース効率も改善します。

これは理論上の話ではなく、すでに現実として進行しており、AIネットワークのエコシステム全体に新たな機会を生み出しています。ハイパースケーラーは、施設間を結ぶマルチペタビット級のリンクを必要とするGPUクラスターを構築しています。ネオスケーラーは需要の高まりを背景に、大容量ネットワークの新設を急速に進めています。卸売事業者や通信事業者は、さまざまなネットワーク事業者の拠点を超高速の波長サービスや、マネージド光ファイバーネットワーク(MOFN)ソリューションに少しでも速く接続するため、競合しています。

An expanding global AI network fabric illustration グローバルに拡大するAIネットワーク・ファブリック

AI需要を収益化するエンタープライズ・サービスの進化

これらの光学技術革新は、エンタープライズ・サービスの分野にも変化をもたらしています。企業におけるAI活用の拡大に伴い、既存の波長サービスを基盤として、より高度で高速なサービスへの需要が加速しています。

AIアプリケーションは、単純なチャットボットから複雑なワークフローを実行できる自律型システムへと進化するにつれ、扱うデータ量は爆発的に増加します。AIエージェントを構築・運用するためには、企業はテキスト、動画、画像、3Dモデルといった膨大なデータを、複数のクラウドやエッジ拠点間で移動させる必要があります。これを支えるために、多くのサービス・プロバイダーが、エッジ・データセンターやクラウドに柔軟な帯域幅を提供できる大容量の光ファブリックやnetwork-as-a-service(NaaS)を展開しています。

要するに、サービスの革新はネットワークの革新と切っても切り離せない関係になっています。どちらも、グローバルなAI経済の可能性を最大限に引き出すために不可欠なのです。

自律型オペレーション

ファブリックを構築することは、全体の半分の作業でしかありません。それをどのように運用するかが、もう一つの重要な要素となります。従来のワークフローでは、AI時代のネットワークが持つ複雑さや変化の早さに対応することはできません。

次の飛躍となるのは、運用におけるエージェント型AIです。これは、意図を持って行動し、文脈を理解し、ネットワーク全体で協調できるAIエージェントを指します。これらのエージェントは以下の要素によって実現しています。

  • リアルタイムの洞察を提供する高度な監視機能
  • 推論を行うための専門的なナレッジベースとLLM
  • 障害が発生する前に予兆を捉えるプロアクティブな分析
  • 問題を即座に解決するクローズド・ループ型の自動化
  • 性能と効率を最適化するためにネットワークを継続的に調整する自動最適化が可能なインテリジェンス

サービス品質の向上を図る通信事業者から、トラフィック・エンジニアリングを最適化するクラウド・プロバイダーに至るまで、さまざまな業界の事業者がすでにAIを活用した運用モデルを導入しています。今後は、AI向けに構築されたネットワークが、運用面でもAIによる自律性をより高める方向へ進化していくことになるでしょう。

AI革命の中枢となるネットワーク

AIは世界中のネットワークをリアルタイムで作り変えています。これは単なる上書きではなく、インターネットの誕生やクラウドの普及に匹敵する、基盤となるアーキテクチャーの大きな転換です。

グローバルなAIファブリックを構築するには、物理インフラの見直し、アーキテクチャーの進化、サービスの再構築、そしてAIを活用した運用への転換が必要です。その中心にあるのが光技術であり、密かに大きな影響力を持って未来を形作っています。AI革命が進む中で、ネットワークは単にAIを支える存在ではありません。ネットワークは、AIを基盤とした経済を築くための不可欠な土台です。

CienaはAIネットワーク変革の最前線に立っています。光ネットワーキングとAIを活用した運用における他にない革新によって、お客様がネットワークの進化をリードできるよう支援しています。  この時代の勝者になるのは、ネットワーク変革を成長の原動力、そして差別化の源として捉え、それを受け入れる事業者です。本ブログでは、この変革を支える主要な技術革新を紹介する一連の記事をご紹介していきます。

次回は、AI時代を形作る多様な事業者の広がりと、その取り組みをCienaがどのように支えているのかを解説します。記事はこちら からご覧いただけます。