AI市場を変革する新たな新興勢力:ネオスケーラー
Toshihiro Imai, Director SE Japan
ここ数年、私たちの情報検索の方法は大きく変わりつつあります。
検索エンジンにキーワードを入力するよりも、AIにそのまま質問するほうが早くて便利——そうした使い方が、今や一般的になりつつあります。
株式会社サイバーエージェントGEO Lab.(GEOラボ)が行った「生成AIのユーザー利用実態調査」によると、検索エンジンと生成AIの両方を情報検索に利用した経験のあるユーザーのうち、7割を超えるユーザーが現在も生成AIを使用していると回答しています。また、検索エンジンの代替として生成AIを使用しているユーザーに対し、その切り替え度合いを調査した結果では、「半分以上切り替わっている」が30.1%、「少し切り替わっている」が60.5%となり、両者を合わせると90.6%に達しました。
こうした結果から、検索行動における生成AIの利用率が着実に高まっていることが分かります。
しかし、AIがここまで身近になると、裏側では膨大な計算資源が必要となります。特に生成AIの裏側では、高性能GPUを大量に搭載した専用データセンターが稼働しています。こうした高性能AI専用インフラを構築・運用するクラウド事業者やAIサービス提供者等が、「ネオスケーラー」と呼ばれる存在です。AI市場を牽引してきたハイパースケーラーと並び、近年急激に存在感を増している新しい市場セグメントがネオスケーラーです。

AIの普及により存在感を増すネオスケーラー
ネオスケーラーは、自社でネットワークインフラの構築を開始できる十分大きな規模感であるものの、ハイパースケーラーには該当しないグループです。例えば、AI向けインフラプロバイダー、コンテンツプロバイダー、データセンターオペレーター、グローバルエンタープライズ等で構成される全く新しい高成長市場セグメントです。
- AI向けインフラプロバイダー
- GPU-as-a-Service(GPUaaS)、AIモデル学習用インフラ、垂直統合型AIスタック提供企業。
- クラウド&エッジサービスプロバイダー
- IaaS、PaaS、CDN、DNS、エッジコンピューティング、マネージドクラウドを提供し、企業やコンテンツプラットフォームのインフラストラクチャーを支える企業。
- データセンターオペレーター&コロケーションプロバイダー
- 物理的なスペース、電力、相互接続サービスを提供する企業。
- デジタルコンテンツ&SaaSプロバイダー
- コンテンツ、ソフトウェア、ソーシャルサービス等をグローバルスケールで提供するプラットフォーマー企業。
- グローバルエンタープライズ
- 大規模な自社設備を保有、ハイブリッドクラウドの活用、データセンターコロケーションやクラウドプロバイダーを活用する大企業。
AI市場は急激に成長しているので、その他にも用途に特化したサービスで差別化を図るネオスケーラーも多数登場し、ネオスケーラーのタイプも多様化する傾向にあります。
ネオスケーラーの中核を担うのが、AIワークロードに特化した高性能なAIインフラを提供するAI向けインフラプロバイダーです。従来のハイパースケーラーは、仮想化技術を活用した汎用クラウドの大規模運用に注力してきましたが、AIワークロードでは仮想化が性能上の制約となる場合があります。AI向けインフラプロバイダーはこの課題に対し、GPUをベアメタルで提供するGPUaaSに特化することで、遅延や性能のばらつきを抑え、AI需要の急拡大に対応する最適なインフラを実現しています。
既存のクラウド基盤との整合性を重視するハイパースケーラーに対し、AI向けインフラプロバイダ―は性能最優先のアプローチで市場において存在感を高めています。同時に、両者は競合である一方、協業や投資を通じたパートナーシップを構築する動きも見られます。
グローバル市場ではすでにAI向けインフラプロバイダーが多数登場しており、市場は活況を呈しつつ、AI市場を取り巻く競争は激化しています。現在、市場を牽引しているのは米CoreWeave社・Lambda社や、欧州のNebius社、豪Iren社・Firmus社等です。これらの企業の多くはスタートアップとして誕生し急成長を遂げています。

ネオスケーラー:AI向けインフラプロバイダー(GPUaaS)
ネオスケーラーはトラフィック需要に迅速に対応する必要に迫られていますが、全てのネオスケーラーが同じ課題に直面しているわけではなく要件は多種多様です。容量や性能を優先するネオスケーラーもいれば、シンプルさや強固なセキュリティを求めるネオスケーラーもいます。この様な多様な要件に対応するには、幅広いテクノロジー・プロダクト・サービスポートフォリオを最大限に活用したソリューションが求められます。Cienaはネオスケーラーと密接に連携し、最先端のデジタル光コヒーレント技術とプログラマブルフォトニクスを活用して、波長あたりの伝送容量とスペクトル効率を最適化するソリューションを提供しています。
例えばAIが大規模なモデルを学習する際、GPU間の通信は計算能力と同様に重要な要素となり、ネットワークがボトルネックとなることは許されず、GPU間の効率的な通信容量拡張が求められるためです。また、運用の迅速性と信頼性を確保しつつ、コストを抑える設計思想やサービスとソリューション(例えばDCOM(Data Center Out-of-band Management)はハイパースケーラーやネオスケーラーのDC向けに開発したCienaのソリューションで運用効率とスペース効率を高め電力を削減します)、そして市場投入までのスピードが重要視されています。
Cienaが提供するネオスケーラー向けのソリューションについては、こちらのブログもご参照ください。
AI主導のイノベーションや次世代クラウドサービスが国や企業の競争力を左右する時代において、ハイパースケーラーと並び、AIエコシステムを支えるネオスケーラーの動向は今後ますます注目を集めるでしょう。将来、ハイパースケーラーとネオスケーラーのパートナーシップが更に進み、お互いのリソースを補完的に提供しながらAI学習とAI推論を実装するハイブリッド型クラウドモデルへAIインフラが進化する事も予想されます。Cienaは、業界をリードする光ネットワークソリューションを通じて、ネオスケーラーの長期的な成長を引き続き支援していきます。



