AIインフラを支えるCienaのコヒーレント光伝送性能を検証

Kiichi Totani, Senior Manager SE, Japan

Cienaは関西地域での大阪―下関間497kmの長距離伝送検証を行い、Cienaの最新コヒーレント光伝送技術「WaveLogic 6 Extreme(WL6e)」を活用し、業界最速となる光伝送を達成しました。高速、長距離伝送の重要性や、検証内容について以下にご説明します。

AIインフラに必要とされる高速・長距離伝送

AIやクラウドサービスの急速な成長に伴い、データセンター間接続(DCI: Data Center Interconnect)の重要性が飛躍的に高まっています。特にAIインフラの拡張において、膨大なデータ処理を支えるための高容量かつ低遅延の接続が求められています。さらに、AIモデルのトレーニングや推論を効率化するため、地理的に分散したデータセンター間での超高速データ同期が必要です。これにより、GPUのリソースを最大限に活用し、トレーニング時間やコストを削減することが可能になります。また、エネルギー供給の制約やデータ主権規制に対応するため、データセンターはより広範囲に分散配置される傾向にあり、これがDCIにおける長距離伝送能力の重要性を一層高めています。

Cienaは、こうしたDCIのニーズに応えるため、業界をリードする光ネットワーク技術と革新的なソリューションを提供しその実用性について実証してきました。その一例が、今回ご紹介する西日本地域での大阪―下関間497kmの長距離伝送検証です。

検証した長距離ネットワーク構成

検証に使用したネットワークの概要は以下となります。

  • 検証に使用したネットワークの概要は以下となります。
  • 大阪市内から下関まで6つの中継ノードを経由した497kmに亘るJR西日本光ネットワーク株式会社が提供する山陽新幹線光ファイバーネットワーク(図1)
  • 中継含む全局にはIOWN Global Forumで定義するOpen APN(Open All-Photonic Network)対応の日本電気株式会社製ROADM装置、SpectralWave WXシリーズが設置され光ラインシステムを構成
  • 大阪と下関には、CienaのWL6eトランスポンダを搭載したWaveserver5を設置し、信号を伝送(図2)
  • 225GHz幅と200GHz幅の2つの異なる波長の設定を行い其々の特性を確認(図3)
  • ROADM装置とWL6eトランスポンダ間の接続には、WSSスイッチポートにトランスポンダを直収する従来型のアーキテクチャに比べ用品点数が格段に少ないTDA (Transponder Direct Attach)構成を利用

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図1 長距離伝送検証に利用したネットワーク

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図2 Ciena WaveserverとWL6eトランスポンダ

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図3 検証した波長設定

検証結果

以上の構成で検証し、1.6Tbpsでの伝送に成功しました。以下に検証による成果をまとめます。

  • 497kmに亘る長距離(Long haul)環境でも最高速度を維持できるWL6eトランスポンダの高い伝送性能の証明
  • トランスポンダからの波長のボーレートまたはシンボルレートを変更することでより高いESNRマージンの確保
  • 光ラインシステムに異なるメーカーの機器を組み合わせたマルチベンダ環境においても高い伝送性能の達成
消費電力についての考察

WL6eは、高速、長距離伝送能力だけでなく、消費電力の観点からも大きな進化を果たしています。Waveserverに WL6eのトランスポンダモジュール1枚を搭載し2波3.2Tb/s伝送を行った今回の構成での消費電力は、同製品に前世代のWL5eトランスポンダモジュールを1枚(2波1.6Tb/s)搭載した時と同レベルであり、bitあたりの消費電力を半分に削減します。

Cienaのコヒーレント光伝送技術を支えるキーテクノロジー

業界初の1波1.6Tb/s伝送を可能にしたのは、Cienaのコヒーレント光伝送技術WL6eです。WL6eは、最先端の3nm CMOS技術や超高帯域幅のトランスミッタ・レシーバ設計を採用し、効率性、持続可能性、そして運用の簡素化を大幅に向上させました。WL6eは、長距離伝送や高容量DCIのニーズに応えるだけでなく、ネットワーク事業者にとってコスト削減、持続可能性向上、そして次世代AIインフラへの対応を可能にする強力なソリューションです。

WL6e技術の詳細は、こちらのブログをご覧ください。

今回の検証は、CienaのWL6eが497kmの長距離リンクでも1波1.6Tbpsという業界最速の伝送速度を実現できること、さらにマルチベンダ環境での互換性や省エネ性、低遅延性まで兼ね備えていることを示すことができました。これらの技術優位性は、AIを支えるインフラや、金融トランザクションやリアルタイム通信などミッションクリティカルなアプリケーション向けのインフラとして、次世代の広域ネットワーク構築や大容量データ伝送のトレンドを大きく後押しします。

Cienaは今後も、革新的なコヒーレント光技術とオープンなネットワークアーキテクチャにより、お客様のビジネス成長と持続可能な社会づくりを支えてまいります。ご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。