2018年は、アジア太平洋地域の通信市場で新たな展望をもたらす大きなトレンドがいくつも起こり、ネットワーキング・ビジネスにとって非常に活気に満ちた年となりました。 将来を予測するのは常に難しいことですが、最近の流れを見ることにより、来年に起きることを予想するための十分なヒントが得られます。

それを踏まえたうえで私なりに予想した、2019年のアジア太平洋地域におけるテクノロジー・トレンドのトップ5をご紹介します。

5Gのめざましい発展

2019年に直面する通信市場における最大のトレンドは、おそらく5Gでしょう。私たちはこの現実から逃れることはできません。

5Gは、従来のさまざまな産業分野の持続的なデジタル化を促進するための画期的な新サービスの実現に役立つと期待されていますが、それらのサービスの提供に欠かすことができないコア・ネットワーキング機能がいくつかあります。 具体的には、超高信頼低遅延通信(uRLLC)、ネットワーク・スライシング、仮想化、自動化とオーケストレーションです。

5G関連の大規模な設備投資は2020年以降に行われると予想されていますが、アジア太平洋地域では、東京、ソウル、シンガポール、香港、シドニーといった大都市で5Gの早期導入が行われ、それと同時に2019年下半期に5Gモバイル・ハンドセットの早期利用が可能になります。 しかし、それよりさらに重要な初期の適用機会となるのは、インド、中国、インドネシア、フィリピン、タイなどの市場における5G固定-無線アクセス・ソリューションです。これらの市場では、ブロードバンド・アクセスが広範に整備されていません。

これらの機会や5G関連のその他のイニシアティブにより、アジア太平洋地域のモバイル事業者は2019年初めから、次の5つの主要分野でネットワーク・インフラを強化する必要に迫られるはずです。

  1. ファイバー化の加速 – 5Gのスペクトル周波数の拡大により、より大容量の無線が必要になるため、ファイバー化が進みます。
  2. ネットワークのアップスケーリング – 容量、伝送距離、信頼性を高める必要があります。
  3. ディスアグリゲーションと仮想化 – 物理と仮想の両方のネットワーク・レイヤーで実現されます。
  4. 自動化とオーケストレーション – 地域ネットワーク(RAN)、トランスポート、コアのドメインを横断的に実施されます。
  5. サービス保証 – エンドツーエンドでサービス保証を強化します。

真に信頼できるプログラマブルなインフラへのアップグレード

従来、ネットワーク・サービスの俊敏性を高める主要なメカニズムは、IP(インターネット・プロトコル)レイヤーでした。 しかし、ユーザー・アプリケーション需要の増加に伴い、ネットワークのすべてのレイヤーおよびドメイン全体でサービスの俊敏性を強化する必要性が高まっており、特に物理ネットワーク機能と統合パケット・オプティカル・トランスポート・レイヤーでその傾向が顕著です。これは、IPによって実現できないデータセンター相互接続(DCI)などの新しいアプリケーションにおいて容量と超低遅延の需要が増加していることも一因となっています。

2018年には、アジア太平洋地域の事業者からNetwork Function Virtualization(NFV)と仮想ネットワーク機能(VNF)に関する提案要求が数多く提出され、ネットワーク機能の仮想化の動きが急速に進んでいることが明らかになっています。これらの機能は、企業および他の産業分野へのサービスの提供速度と俊敏性を向上させます。

パケット・オプティカル・ドメインで切実に求められているのは、非常に柔軟性の高い、プログラマブルかつスケーラブルなソリューションです。 Cienaは、プログラム的なインターフェイスと再構成可能なアーキテクチャーと伝送を介して、信頼性および俊敏性の両方を実現するバックボーン・ネットワークを実現する真にプログラマブルな適応型のソリューションを提供する唯一のベンダーとして、これまで先頭を走り続けています。

当社は、このトレンドが2019年も本格化し続けると確信しています。

AIの始動

Apple Siri、Google Assist、Amazon Echoなどのあらゆる場所から通信できるインテリジェント・パーソナル・アシスタントから、カスタマー・サービス・ポータルのインテリジェント・エージェントまで、過去12か月から18か月の間にAIに触れる機会が増えたことで、利用者の理解が大幅に進んでいます。

ネットワークの自動化においてAIツールがもたらす経済面での潜在的な効果は絶大であり、運用コストを大幅に削減します。 しかし、利用可能な現実性のあるソリューションが少ないため、実際の導入は順調に進んでいるとは言えません。

私は、2019年はサービス事業者のインフラでAIツールが普及し始める年になると確信しています。 Cienaは、サービス事業者のお客様が運用効率を最適化し、この重要なトレンドに着手するのに役立つAIベースのアプリケーションとサービスの商用版を提供することで、この分野でも有利なスタートを切っています。

活況が続くデータセンター

かつてないほどに、コンテンツの重要性は高まる一方です。 スマートシティーには、ユーザーが利用できるコンテンツだけでなく、マシンによって利用可能なコンテンツが必要であり、データセンターの構築と容量の拡張ニーズが増え続けています。

アジア太平洋全域にわたり、このような構築に先鞭をつけているのはインターネット・コンテンツ事業者(ICP)です。 Cienaは業界屈指のDCIソリューションのサプライヤーとして、グローバルに業界を牽引するICPと連携し、地域の通信事業者とのパートナーシップの下で国内向けのDCIを構築しています。 これらのDCIは国内のデータセンターを接続するため、ビデオ・ストリーミングなどの広帯域コンテンツを利用する国内ユーザーに最高のユーザー・エクスペリエンスを提供できます。

5Gが間近に迫り、5Gではマルチアクセスのエッジ・コンピューティングが必要になることから、2019年には、大幅なスケールアップが可能でありながら、コンパクトでエネルギー効率に優れたDCIソリューションを事業者ネットワークのより広い範囲に導入する必要が生じるでしょう。

企業ネットワーキングの仮想化

企業での仮想化は新しいトレンドではなく、企業ワークロードの仮想化の驚くべき効果は、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureで実証されています。 しかし、仮想化の対象は企業のコンピューティングおよびストレージ・リソースです。 一方、今のところ企業ネットワーキングの仮想化は、それらのリソースが達成した仮想化レベルにはまったく届いていません。

過去18か月から24か月の間に、Software-Defined WAN(SD-WAN)の成長率は最大40%に達しました。 SD-WANは、企業ネットワーキングの仮想化で真に「キラー・アプリケーション」となった最初のアプリケーションです。

次なる革新は、大幅に動的化された仮想ネットワーキング機能を実現するユニバーサルCPE(uCPE)のアクセス・エッジへの導入です。 この分野では、何社かのサービス事業者が新たな分野を開拓しました。例えば、AT&TのFlexwareSMソリューションOrangeのEasy-Go-Networkです。

当社は、このトレンドは2019年に爆発的に伸びると予想しています。 Cienaは、この分野でも分散NFVIプラットフォームとソフトウェアを提供して一歩先んじています。サービス事業者は、このキャリアグレードのイーサネット・デマケーション・プラットフォームを活用することで、顧客ユーザーのアクセス・エッジで拡張性および俊敏性の高いVNFホストをサポートできます。

ネットワーク・セキュリティーは、これまでの予測で明確に言及しませんでしたが、注目すべきポイントの1つです。ネットワーキングのあらゆる点を鑑みてベンダー・ソリューションを選択するとき、セキュリティーの脅威は世界中のサービス事業者の重要な懸案事項であり続けています。 2019年も引き続き重要な要因となるはずです。

結論としては、2019年には前述したトレンドが業界の推進力となり、2018年よりさらに活気に満ちた年になると確信しています。 皆さんはどのような意見をお持ちですか。 2019年に到来するトレンドについて皆さんのご意見を下記のコメント欄に記入してください。