Byline to : Kiichi Totani, Senior Manager SE, Japan

ここ数年、街を歩くとシェアリングの存在を当たり前に見かけるようになりました。スペースやモノ、移動手段、スキル、そしてクラウドファンディングによる投資など、いま私たちは資産を「持つ」よりシェアして「賢く使う」ことで、暮らしもビジネスも軽やかにそして柔軟にできる時代にいます。

この潮流は数字にも表れています。情報通信総合研究所がシェアリングエコノミー協会と共同で行った調査結果によれば、2018年度以降シェアリングエコノミー市場は毎年拡大し、2024年度の市場規模は3兆1,050億円(2022年度比18.7%増)と推計されています。このようにシェアリング市場はますます拡大し、私たちの社会に浸透してきています。

この「資産をシェアして価値を最大化する」という考え方は、デジタルインフラにも広がっています。IaaS、PaaS、SaaSなどサーバー・ストレージ・ネットワークを共有するパブリッククラウド、データセンター設備を共有するコロケーション、相互接続ポイントを共有するIX(インターネットエクスチェンジ)などがその例です。そして、光伝送の分野では、複数のユーザーのデータトラフィックに割り当てられたスペクトラムを1つの共有ファイバーで伝送する「スペクトラム・リースサービス」が挙げられます。しかし、ここで重要になるのが、ユーザーのデータをしっかりと守る「セキュリティー」です。

スペクトラム・リースサービスとその位置づけ

スペクトラム・リースは、ハイパースケーラー、クラウドサービスプロバイダーやコンテンツプロバイダーなどのネオスケーラー、そして規模の大きな企業向けなど大容量伝送を必要とするユーザーにサービスプロバイダーが提供する伝送サービスの1つです。従来、ハイパースケーラーやクラウドサービスプロバイダーは海底ネットワークを介したスペクトラム共有を活用してきましたが、近年では高帯域アプリケーションの需要に応えるため、陸上ネットワークを介したスペクトラムサービスの提供を開始するサービスプロバイダーが増加し始めています。

ハイパースケーラーやネオスケーラーの視点では、従来の専用線ではカバーできない大容量需要を満たす必要があっても、MOFNによる占有ネットワークまでの容量は不要な場合に、スペクトラム・リースは有効な選択肢になります。また、サービスプロバイダーは新しいサービスメニューとしてより多くの顧客需要を汲み取ることが可能となります。スペクトラム・リースは、同じネットワーク上で従来型の専用線との混在が可能であり、サービスプロバイダーが個別ネットワークを新規構築する必要がない点も、最適な投資と新サービスの早期展開を可能とします。

Spectrum sharing

スペクトラム・リースサービスの位置づけ

スペクトラム・リースのセキュリティーを強化するCienaのSSM機能

スペクトラム・リースでは、通信事業者が自社の光ファイバーネットワーク上の光スペクトラムの一部を顧客に割り当てます。その後、顧客はトランスポンダーや多重化/復調フィルターなどの自社機器を接続し、割り当てられたスペクトラムを利用します。顧客は、リースされたスペクトル内で使用する変調方式、データレート、プロトコルを自由に指定することができます。通信事業者の既存のオープンラインシステムを活用することで、スペクトラム・リースは優れた拡張性だけでなく、希望するコヒーレント伝送技術を自由に導入できる柔軟性も顧客に提供します。

しかし、スペクトラム・リースには、意図的か偶発的かを問わず、スペクトル間の干渉やスペクトル漏洩に関する重要な懸案事項が伴います。顧客に共有光インフラへのアクセスを提供する際には、要求されたSLAを維持するために適切な保護措置を講じる必要があります。これは、CienaのRLSオープンラインシステムに組み込まれたSSMモジュール(Shared Spectrum Monitor)によって実現されます。

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スペクトラム・リースのネットワーク構成

スペクトラム・リースでサービスレベルを高めるための3つの課題

スペクトラム・リースサービスをセキュアに利用するため、また高度なサービスレベルを維持するために3つの課題に対応する必要があります。

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スペクトラム・リースの要求と課題

Cienaではユーザーに解放するスペクトラムの信号を伝送するだけではなく、上記の課題に対して適切な対策をサービスプロバイダーが行えるように個々のスペクトラムの状態を正しくリアルタイムにモニタリングするSSMを提供します。波長/スペクトラムモニター(SSM)で収集された情報はCiena Navigator NCSでリアルタイムに表示されます。問題がある波長/スペクトラムに対してはネットワークから遮断し自動的にASEと置き換えることで、ネットワーク上の他の顧客通信に影響を与えずに、セキュアで高いサービス品質の維持が可能になります。

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ユーザーごとの波長/スペクトラムモニターを提供するSSM

このように、スペクトラム・リースは「資産をシェアしながら価値を最大化する」というシェアリングエコノミーの思想を、光伝送ネットワークの世界にも拡張する新しいサービスモデルです。一方で、複数のユーザーが同一ファイバーを共有するため、従来以上に高いセキュリティーと確実なSLAの順守が欠かせません。
CienaのSSMは、スペクトラム単位での可視化と制御を可能にすることで、スペクトラム・プライバシー、セキュリティー、適合性という課題に正面から応え、サービスプロバイダーが安心してスペクトラム・リースを提供できる基盤を実現します。
シェアすることで効率と柔軟性を高めながらも、セキュリティーは妥協しない――Cienaは、次世代の光ネットワークに求められるその両立を、スペクトラム・リースという形で支え続けていきます。