このブログはACG Researchが第一弾として発行するブログです。 

これは真剣に向き合わなければならない課題です。5G xHaulトランスポートは複雑化する懸念があります。5Gには従来のバックホールに加えて、フロントホールと新たなミッドホールが存在し、これらのxHaulにも複雑なプランニング要件が必要です。5Gには3G/4Gに比べてより厳しいレイテンシー、タイミング、および同期の制約があり、また、ネットワーク・スライスの新しい要件に対応して、さまざまな新しいインターフェイスをサポートする必要もあります。5Gトランスポート・ネットワークが適切にプランニングされない場合、Capexの増大と悪夢の運用を引き起こす最適化されていない状態のネットワークになり、エンドユーザー(人とマシン[IoT]の両方)が必要とするサービス・パフォーマンスとユーザー体感品質を提供できない可能性があります。

5Gトランスポート・ネットワークをシンプルで将来に備えたものにする方法はあるでしょうか。このブログでは、xHaulトランスポート・ネットワークを単純化して将来に備えたものにするための方向性を示すネットワーク設計者向けのガイドラインをご紹介することで、この疑問にお答えします。

Illustration+of+5G+xHaul+Transport+Cycle

ガイドライン1:サービス・レイヤーを統合する

5Gネットワークのサービス・レイヤー数は少ないほど良いとされています。IP、イーサネット、OTN、またはDWDといった複数レイヤーにサービスを配置するのではなく、それらのレイヤーのいずれか1つを戦略的に選択します。これは、ネットワーク・スライスを使用する場合に特に当てはまります。それはなぜでしょうか。ネットワーク・スライスが既に複雑であるからです。1つの技術を使ってネットワーク・スライスをエンドツーエンドでサポートすることにより、ネットワークが単純化され、プロビジョニングと保守が容易になります。

このようにシームレスなサービス・レイヤー(L2とL3の両方のサービス)をセルサイトからコアサイトまで提供するという点で、IPほど優れた技術はありません。IPは堅固なアグリゲーション機能も備えています。サービス・レイヤーで複数のテクノロジーをつなぎ合わせて使用すると、エンドツーエンドのプロビジョニングとサービス・レイヤー管理が例外なく難しくなります。

IP/MPLSは管理が難しく、おまけにRSVPやLDPなどの重いシグナリング・プロトコルによって肥大化しているため、ネットワークが複雑になります。発信元ベースのルーティングを使用するセグメント・ルーティングによってIP/MPLSは単純化されてきており、RSVPやLDPを必要とせずに、より簡単に管理できるようになっています。 それに加えて、EVPNはVPNレイヤーの作成を単純化します。セグメント・ルーティングとEVPNを組み合わせることで、xHaulネットワークが大幅に単純化されます。これはスライスの作成で推奨されているよりシンプルなアプローチです。

ガイドライン2:タイミング、同期、レイテンシーを考慮して設計する

一般的にトランスポートにおけるレイテンシーは短いほど良いとされます。そして、2つレイテンシーを考慮する必要があります。

  1. まず、エンドツーエンドのレイテンシーです。これは携帯電話事業者またはホールセール事業者が提供するサービスの種類に応じて異なります。たとえば、urLLC(ultra-reliable Low-Latency Communications、超高信頼・低遅延通信)のレイテンシー要件は、eMBB(enhanced Mobile Broadband、モバイルブロードバンドの高度化)と比べてはるかに厳格であり、数ミリ秒の範囲です。このようなレイテンシーに対応するために、事業者はユーザー装置の近辺にエッジ・データセンターを構築することを検討し、Time-Sensitive Networking(TSN)を実装する必要があります。
  2. 2つ目のレイテンシーは、C-RANのフロントホールに関連するものです。このレイテンシーの範囲は100ミリ秒またはそれ以下です。これは、DU(Distributed Unit、リモート局)と無線サイト間の距離によって決まります。

5Gトランスポートにとって重要な要件はレイテンシーに加え、タイミングと同期です。パケットベース技術は同期に影響を与える可能性があり、レイテンシーとジッターという点では最適ではありません。しかし、イーサネット関連のIEEEによるTime Sensitive Network(TSN)やIP関連のIETFによるDetNetなどのイニシアティブによってパケット技術の確実性がジッター、ゆらぎ、時間偏差の点で向上しており、タイミング/同期パケットの搬送に適したものになっています。

OIFによる新しい標準はFlexEthernetと呼ばれ、イーサネット・レイヤー上でTDMのようなリソース分割と予測可能なサービス保証を提供できます。FlexEthernetは、サービス・プロバイダーが超低遅延サービス向けに選択できるオプションの1つになっています。

トランスポート装置はフロントホール・アプリケーション向けに、ITU-T G.8275.1プロファイルとClass C以上の精度が用いられるバウンダリー・クロック機能をサポートする必要があります。

xHaulトランスポート・ネットワークにはタイミングと同期の厳格な要件があるため、ネットワークにT-GM(Telecom Grandmaster)を慎重に配置する必要があります。C-RANでは、中央の場所から時刻同期無線サイトへ多くのクロックを分散させる必要があります。トランスポート装置がT-GMとGNSS(Global Navigation Satellite System、全地球的航法衛星システム)レシーバー機能をサポートできる場合は外部のT-GMクロックのニーズが大きく軽減するため、柔軟性とCapex削減が大幅に向上します。

5G xHaulトランスポート装置を設計するときは、データセンター、CU(Centralized Unit、集約基地局)、DUの配置を決定するために、サービスに必要なレイテンシーを把握することが絶対に必要です。さらに重要なことは、パケットベースのフロントホールを使用するときには、ジッターに加え、レイテンシーを軽減できるオプションを把握することです。

ガイドライン3:自動化、オーケストレーション、分析は5Gの重要な要素である

ネットワーク・スライスは、無線、トランスポート、コアなどの複数の無線ドメインと有線ドメインを横断するので、これらの多様なレイヤーにわたってサービスを管理するために、5Gにはインテリジェントなデータ駆動型の自動化とオーケストレーションが必要です。これに関連して、トランスポートには考慮すべき要因がいくつかあります。

  1. コマンドライン・インターフェイスを使用する手動プロビジョニングは、時間がかかりエラーが発生しやすいため、将来に備えた自動化を実現するうえで障害となります。その代わりに、NETCONFとオープンYANGモデルを使用したモデルベースの自動化は、将来拡張性性が高く、実装が容易であり、SDNコントローラーやオーケストレーション・システムと簡単に統合できます。SDNコントローラーを使った集中型のインテリジェンスは、中央の場所からLSPのトラフィック・エンジニアリングを実行するための有効な手段となるので推奨されています。
  2. スライスを使用しているのに、エンドツーエンドのスライスの可視性がないことほど最悪なことはありません。オーケストレーション・ツールは、IGP、BGP、gNMI(gRPC)、SNMP、Syslog、NetFlowなど、さまざまなレイヤーにわたってパフォーマンスの高度な可視性を提供する必要があります。それに続いて、クローズドループ自動化とともに機械学習を使用することにより、ネットワークで予防的な是正措置を講じてスライスのサービス品質を保証できます。

ガイドライン4:トランスポート装置を賢く選択する

トランスポート装置の選択に際して考慮しなければならないことがいくつかあります。

  • xHaulトランスポートの観点からは、TSN、eCPRI、CPRIなどの4Gから5Gへの段階的な変革をサポートするために、ルーターはRoE、L1オフロード、F1インターフェイスを使ってIPの必須機能だけでなく、追加機能もサポートする必要があります。
  • ネットワークの高密度化に必要なインフラを提供するための100GE/25GbEの高密度。
  • 5Gが必要とする帯域の拡張性を実現するための100/200/400 GbE NNIインターフェイス。
  • タイミングと同期の観点からは、ITU-T G.8275.1プロファイルとClass C以上の精度を用いるテレコム・グランドマスター、バウンダリー・クロック機能、およびGNSSレシーバーをサポートする必要があります。
  • スライスの観点からは、装置がソフトスライス(例:セグメント・ルーティングを使用)とハードスライス(例:FlexEthernet)の両方をサポートできる柔軟性を備えている必要があります。
  • 自動化の観点からは、IGP、BGP、SNMP、NetFlow、gNMI(gRPC)、Syslogなどの複数のレイヤーにわたり、ルーター/管理システムがNETCONF/YANGと高度なデータ駆動型の分析を使った自動化をサポートする必要があります。これにより、光レイヤーからパケット・スイッチングとルーティング・レイヤーまでのエンドツーエンドの可視性とインテリジェントなクローズドループ自動化が提供されます。

既に結論に達した方もいるかもしれませんが、5G xHaulトランスポートには、豊富な機能を備えたマシンと、密接に統合された自動化/オーケストレーション・プラットフォームの両方を含むソリューション・レベルのアプローチが必要です。Cienaは、革新的なAdaptive IPTMポートフォリオにより、オープンでありながら包括的なソリューションを提供します。このソリューションは、Blue Planet自動化ソフトウェアと密接に統合されます。また、効率化されたオープンな一連のIPプロトコルによって5G xHaulトランスポートを単純化してきました。これらのプロトコルは、分析に重点が置かれたマルチドメイン/マルチベンダーのクローズドループ自動化レイヤーによって駆動されます。