新しい時代のIP/オプティカル・ネットワークの可視化と自動化のアプリケーション
イアン・レッドパス(Ian Redpath)氏は、Omdia社の最も高度なテクノロジー・プラクティスの1つであるトランスポート/ルーティング・プラクティスのプラクティス・リーダーとして、戦略、クライアント、製品、チーム開発を担当しています。通信技術のプロフェッショナル・チームを統括するレッドパス氏は、最先端の光ネットワーク、コンポーネント、ルーティング技術が、通信サービス事業者、インターネット・コンテンツ事業者、企業によってどのように活用および導入されているかを調査しています。
皆様もご存知のように、IP/オプティカル・ネットワークのパフォーマンス・ニーズは増大しています。直接的な2つの推進要因はクラウド・サービスと5Gです。これらがネットワーク運用に与える影響は、容量の拡大だけではありません。通信サービス事業者(CSP)は、ネットワーク管理、可視化、自動化の世代間アップグレードを必要としています。
主要企業ではクラウド・サービスの導入が本格化しており、さらなる成長を遂げる可能性が高まっています。それに伴い、クラウド・サービス・エンドポイント数が増加し、サービスあたりの帯域ニーズが拡大しています。クラウド・サービスには、ホーム・オフィス、企業サイト、外出先など、あらゆる場所からアクセスします。極めて重要なサービスがクラウド・モデルに移行しているので、帯域アンダーレイのパフォーマンス要件が増大しています。現在、ますます厳しくなっているレイテンシー要件を遵守するために、CSPはサービスおよびネットワークのパフォーマンスの可視性を高める必要があります。
5Gもまたネットワーク可視化のニーズを大きく変えています。5Gにより、膨大な数の広帯域IP/オプティカル・エンドポイントの必要性が増しています。5Gの時代には、厳格なレイテンシー仕様と拡張されたネットワークの可視性がさらに深化します。5Gでは、基地局にレイヤーゼロからレイヤースリーのマルチレイヤーの可視性が必要です。
クラウド・サービスと5Gサービスは、統合されたIP/オプティカル・インフラで実行されるようになります。光ネットワークは急拡大しており、運用で使用されている光コヒーレント・ポート数は1千万ポートに近づいています。また、光ネットワークは到達範囲という点でも進化しており、クラウドと5Gのエンドポイントの高密度化のニーズを満たし、分散エッジ・コンピューティングを使った最新アーキテクチャーに対応しています。
CSPの課題: 急拡大する環境における効率的な運用
前述したように、クラウド・サービスと5G RANの成長や、エッジへの光容量の拡張により、CSPの要件はさらに引き上げられています。具体的には、ネットワーク管理、可視化、自動化を大幅に向上させる必要があります。IPと光のネットワーク技術レイヤーを連携させて運用する必要がある場合には、かつては別々に運用されていたネットワーク管理ソリューションも、より緊密な連携方法で運用する必要があります。より密接にマルチレイヤーを統合するには、ネットワーク管理ドメインでマルチベンダーの相互運用性を大幅に高める必要もあります。CSPの多くは、それぞれのネットワーク・レイヤーで、2社以上のベンダーと協働しています。ネットワーク管理では、迅速さを向上させる必要があります。CSPは進むべき方向性として、人が手動で運用する時代から、自動化による支援の時代を経た後で、最終的に完全に自動化された時代に移行したいと考えています。
障害管理のスタンスを過去に基づく事後対応的なものから、サービスに影響が及ぶ前に障害を予測する事前対応的なスタンスへ移行する必要もあります。CSPは、詳細なネットワーク・テレメトリーとデータ分析のアルゴリズムによって実現される最新の予測機能の活用に関心を寄せています。
CSPの観点から最も重要な自動化の課題
最新の「Omdia Optical Network Strategies Survey」で、重要な質問が提起されました。「将来の光ネットワークの価値で重要なものは何か?」という質問です。「最も重要な点は、組み込みの計測機能と高度なテレメトリー・データを処理する能力である」とCSPは回答しています。
将来のネットワーク管理ソリューションは、高度な制御に対して組み込みの計測機能を利用することに加え、次のような広範なCSPのビジョンに整合するものでなければなりません。
- 収益曲線を加速させて、運用コスト曲線を抑制する
- 真のマルチレイヤー・ネットワーク管理の統合を実施する
- マルチレイヤー/マルチベンダーのサービスとネットワークを一元的に可視化する
- 事後対応的なネットワーク管理から、より事前対応的な運用モードへ進化する
- 高度な新しい分析機能を活用する
- 最終的なクローズドループ自動化の目標に向かって進む
- 最適な状態のネットワーク効率に向けて進化を遂げる
統合IP/オプティカル・ネットワークの可視化と自動化の基盤
次世代のマルチベンダーIP/オプティカル・ネットワーク管理プラットフォームは、手動方式からデータ駆動型の自動化された運用へ移行するために、次の3つの基盤となる分野における進歩を利用します。
- 従来は不透明であった光ネットワークからより多くのネットワーク・パフォーマンス・データが追跡可能になっている
- オープンAPIはマルチレイヤー/マルチベンダー通信のための共通言語を提供する
- レイヤーゼロからレイヤースリーまでのより密接な相互接続を利用する実用的なアプリケーション・スイートが増えている
より多くの光テレメトリー・データをリアルタイム状態情報に変換
組み込みのOTDRとコヒーレント・チップセットの普及により、これまでにないほど多くのテレメトリー・データが光レイヤーから追跡可能になっています。リアルタイムの光パフォーマンスをモニタリングできるようになり、有効な信号対雑音比、波長分散、プリFECビットエラー率、レイテンシーなどのより多くの重要なメトリックを追跡できるようになりました。強化された光の可視性を光コアから光エッジへ拡張できます。
「オープンAPI」は、ネットワークの可視化と運用の自動化の中核をなします。
現在、Netconf、GPRC、OpenConfig、Restful APIといったオープンAPIを利用することで、ベンダーの独自仕様に依存しない方法でパフォーマンス・データを共有できます。オープンAPIを使用することで、ネットワーク・モニタリング、サービス・モニタリング、トラフィック・エンジニアリングのデータを、SPのネットワークのレイヤーゼロからレイヤースリーまでのあらゆるデバイスから(ベンダーを問わずに)、ノースバンドに送信できます。これによりCSPは、ネットワークの現在の状態をすべてのレイヤーとベンダーにわたって表示する、より包括的なビューを利用できるようになります。 また、ドメイン・コントローラーと、バックエンドのオペレーション・サポート・システム(OSS)を統合するために使用する、TAPI、WebSocket、Restful APIなどのオープンAPIも同様に重要です。これにより、運用ワークフローのエンドツーエンドの自動化が可能になります。
メリットを即効で実現する実用的なアプリケーション
CSPは、より包括的なネットワーク表示により、成長著しい高度なデータ分析とアプリケーションをレイヤー全体にわたって利用できます。たとえば、光通信システムのSNRマージンをリアルタイムに可視化し、マージンを必要に応じてオンデマンドで光容量に変換できます。また、マルチベンダーIP/MPLSネットワークの可視化およびルーティング動作の分析をパフォーマンス・メトリックと関連付けることで、IPサービス保証を強化することもできます。レイヤーゼロからレイヤースリーまでのネットワーク使用率メトリックを使用すれば、容量の枯渇や低いリソース使用率を見極めて、将来の容量計画を改善できます。
方向性:手動方式から自動化による支援に移行した後で完全なクローズドループへ
CSPは、ネットワークの詳細を可視化する、より高度に自動化された環境を導入したいと考えています。ネットワーク管理の長期目標の最終ゴールは、自動感知、自動調整、自動最適化とクローズドループのフル機能を持つ、完全に自動化されたネットワークです。
既にCienaのManage, Control and Plan(MCP)ドメイン・コントローラーを使用して、この目標に向かっているCSPの事例として、北米のWindstream社があります。
「当社が5Gの準備をしているときのことですが、ワイヤレス・バックホールのお客様がこのデジタル・イノベーションの新たな章として登場した機会を実現するために、信頼性および拡張性の高いネットワークを必要としていました。当社は、CienaのManage, Control and Plan(MCP)ドメイン・コントローラーが提供する包括的なネットワーク管理と自動化を活用し、世界トップクラスの「ファイバー・ツー・ザ・基地局」のインフラとエンドツーエンドのオーケストレーションを確立し、最高レベルのアジリティーでお客様に広帯域サービスを提供しています。
また、Windstreamは、複数のネットワーク・レイヤーにわたってネットワークの可視性を強化することを提唱してきました。当社は装置ベンダーのパートナーと密接に連携し、ベンダーの装置が重要なデータにアクセスできるように機能強化してきました。レイヤーゼロとレイヤーワンの分析およびその他の機能を提供するネットワーク・インテリジェンス・ポータルに取り組むお客様向けに、この装置を実装しました。 最近、管理対象のスペクトラムの試験を実施し、OSNR、波長分散、微分群遅延などのレイヤーゼロの分析をこのポータル経由でほぼリアルタイムに公開しました。当社は、より多くの光テレメトリー・データを提供および使用することが、将来の光ネットワーキングへの鍵であると考えています。」
- Windstream、最高ネットワーク責任者、 バディー・バイアー(Buddy Bayer)氏
CSPは、今すぐ移行を開始して、自動化による支援の数多くの新機能をすぐさま活用し、収益化までの時間と運用パフォーマンスを大幅に改善することができます。